日欧の版画を見てきました
2011年 09月 04日
名古屋まで本日開催されていた展覧会は、「棟方志功展」と「レンブラント展」。
日本の木版画とヨーロッパの銅版画をじっくり見てきました。
まずは愛知県美術館「棟方志功展」。
「わだばゴッホになる」と言って美術の道を志した棟方志功は、
板の声を聞くという思いで
自らの版画作品を「板画(はんが)」と呼び、
作品に生涯の道標を念願をかけておいていくという意味で、
板画の題に、四国巡礼の納め札を示す「柵」と名付けました。
棟方志功<鐘渓頌(朝菊の柵)>。
陶芸家・河井寛次郎を讃仰したもので、戦後はじめて手がけた作品。
地に根付いた地母神のように豊かでおおらかで包み込まれる女性像です。
これらの裏彩色の作品も独特の華やかさがありますが、
墨一色だけの版画(板画)の方が、木彫りらしい柔らかさがより感じられました。
1956年のヴェネツィア・ビエンナーレ展で国際版画大賞を受賞した<二菩薩釈迦十大弟子>。
釈迦のもとで修行に励んだ十大弟子に、文殊と普賢 の二菩薩が
躍動感いっぱいの画面から飛び出すような構図で表現されています。
弓矢を持たず心で花を狩ろうとする<華狩頌>。
狩人や動物たちのあふれる生命感が伝わってきます。
<花矢の柵>。
72枚の裏表で合計144枚の版木が使われた、全長26mにも及ぶ<大世界の柵>という大作もありました。
それから、名古屋市美術館の「レンブラント展」。
<書斎のミネルヴァ>。
光の探求/闇の誘惑ー版画と絵画 天才が極めた明暗表現ーという副題の通り、
レンブラントが光を追求するために制作した銅版画がたくさん展示されていました。
<ラザロの復活>。
カラヴァッジョの同主題の作品とはまた違った構図で、
神秘の力によって生き返った奇跡の一瞬が劇的な明暗で描かれています。
銅版画という制約を超越した作品。
<病人たちを癒すキリスト(百グルデン版画)>。
レンブラント自身がこの版画の一枚の刷りを買い戻すのに百グルデンの大金が必要だったことから名付けられたそうです。
キリストから発せられる光によって浮かび上がった人々と
暗く沈んだところに横たわった人々が対比させられています。
<三本の十字架>は、ルーヴル美術館、大英博物館、アムステルダム国立美術館、レンブラントハイスの4つの作品を並べて展示されていました。
<エッケ・ホモ(民衆に晒されるキリスト)>。
レンブラントは何度も版に手を加えて改変し、作品をつくり直しました。
キリストの下にいた群衆たちが消され、
より壇上のキリストに焦点が集まることを狙った意図がよく分かります。
日本の巨匠の躍動感あふれる木版画と、西欧の天才の光が感じられる銅版画。
どぢらも大変見応えがありました。
日本の木版画とヨーロッパの銅版画をじっくり見てきました。
まずは愛知県美術館「棟方志功展」。
「わだばゴッホになる」と言って美術の道を志した棟方志功は、
板の声を聞くという思いで
自らの版画作品を「板画(はんが)」と呼び、
作品に生涯の道標を念願をかけておいていくという意味で、
板画の題に、四国巡礼の納め札を示す「柵」と名付けました。
棟方志功<鐘渓頌(朝菊の柵)>。
陶芸家・河井寛次郎を讃仰したもので、戦後はじめて手がけた作品。
地に根付いた地母神のように豊かでおおらかで包み込まれる女性像です。
これらの裏彩色の作品も独特の華やかさがありますが、
墨一色だけの版画(板画)の方が、木彫りらしい柔らかさがより感じられました。
1956年のヴェネツィア・ビエンナーレ展で国際版画大賞を受賞した<二菩薩釈迦十大弟子>。
釈迦のもとで修行に励んだ十大弟子に、文殊と普賢 の二菩薩が
躍動感いっぱいの画面から飛び出すような構図で表現されています。
弓矢を持たず心で花を狩ろうとする<華狩頌>。
狩人や動物たちのあふれる生命感が伝わってきます。
<花矢の柵>。
72枚の裏表で合計144枚の版木が使われた、全長26mにも及ぶ<大世界の柵>という大作もありました。
それから、名古屋市美術館の「レンブラント展」。
<書斎のミネルヴァ>。
光の探求/闇の誘惑ー版画と絵画 天才が極めた明暗表現ーという副題の通り、
レンブラントが光を追求するために制作した銅版画がたくさん展示されていました。
<ラザロの復活>。
カラヴァッジョの同主題の作品とはまた違った構図で、
神秘の力によって生き返った奇跡の一瞬が劇的な明暗で描かれています。
銅版画という制約を超越した作品。
<病人たちを癒すキリスト(百グルデン版画)>。
レンブラント自身がこの版画の一枚の刷りを買い戻すのに百グルデンの大金が必要だったことから名付けられたそうです。
キリストから発せられる光によって浮かび上がった人々と
暗く沈んだところに横たわった人々が対比させられています。
<三本の十字架>は、ルーヴル美術館、大英博物館、アムステルダム国立美術館、レンブラントハイスの4つの作品を並べて展示されていました。
<エッケ・ホモ(民衆に晒されるキリスト)>。
レンブラントは何度も版に手を加えて改変し、作品をつくり直しました。
キリストの下にいた群衆たちが消され、
より壇上のキリストに焦点が集まることを狙った意図がよく分かります。
日本の巨匠の躍動感あふれる木版画と、西欧の天才の光が感じられる銅版画。
どぢらも大変見応えがありました。
by motoretta
| 2011-09-04 21:58
| アート